小田原らしいバリアフリーのかたち。
2022年夏、県西エリア初!!の〝バリアフリービーチ〟への挑戦。

左が初鹿真樹さん。2018年開催、バリアフリーマップ作成まち歩きイベントにて。
「バリアフリー」というと、ご存知の通り、障害のある方やお年寄りの方などにとって生活をする上で〝バリア〟となっているものを、取り除くための方法や行動、また、取り除いた状態を指す言葉。
もともと建築用語だったこの言葉も、今では色々な用途や目的にもち入れられ、一般の方にも広く認知されています。
なかでも、〝心のバリアフリー〟の面に着目して、小田原を中心としたエリアで精力的に活動、じわじわと影響を広げていき、ゆるやかなムーブメントを起こしつつあるのが、作業療法士の初鹿真樹さんを代表とする「Teamリハもんfrom県西リハ(以下、Teamリハもん)」のみなさんです。
2017年のバリアフリーマップ作成企画から始まった、今に至るまでの、初鹿さんたちの歩みと、今年(2022年)の夏、いよいよ小田原の海水浴場で挑戦しようとしている、念願の〝バリアフリービーチ〟について、紹介したいと思います。
福田ひろみさん(左)と初鹿さん(右)。御幸の浜にて。

「小田原でバリアフリーマップをつくろう!」
手描き地図→参加型まち歩き→アプリ連動イベントへ

バリアフリーマップ作成まち歩きイベント(2019年10月)

バリアフリーマップ作成まち歩きイベント(2019年10月)

バリアフリーマップ作成まち歩きイベント(2019年10月)

「Teamリハもん」とは、地域の各種リハビリ関連職からなる「一般社団法人神奈川県西地区リハビリテーション協議会」のメンバー+〝活動に賛同した市民〟=〝リハもん(リハビリをする人)〟である、という定義からなる、有志のチーム(2019年結成)。
その活動の第一歩は、初鹿さんたちの、「小田原で〝バリアフリーマップ〟をつくりたい!」という思いでした。
最初は、2人の作業療法士がまちを歩いて手描きのマップにまとめる、という極めてシンプルなものだった〈バリアフリーマップ作成〉企画でしたが、回数を重ねるごとに、ユーザーも含む参加型のまち歩きスタイルへ、バリア情報投稿アプリと連動しての効率的&エンターテイメントなイベントへと、パワーアップしていったのです。

バリアフリーマップ作成まち歩きイベント(2019年10月)

バリアフリーマップ作成まち歩きイベント(2020年9月)

コロナ禍に入って、そういったイベントはストップせざるを得ませんでしたが、今までの活動が評価され、2020年2月、『小田原バリアフリーマップ作成による優しい街づくりへの挑戦(旧神奈川県西地区リハビリテーション連絡協議会の活動)』として、初鹿さんたちは、「第12回神奈川県バリアフリー街づくり賞」のソフト部門の表彰を受けました。
まち歩きイベントで収集したデータをもとに作成した〝バリアフリーマップ〟(2020年版)。

観光で、日常で、ひろがる可能性

また、コロナ禍で制約があるとはいえ、水面下で〝バリアフリー〟の必要性は多方面へと広がっていきました。
今までは想像もしていなかった、様々な団体や活動から声がかかるようになってきたのです。
2020年10月には、小田原市観光協会との〝小田原城誘客プロジェクト〟として、観光用カートを活用しての「屋外リハビリ実証実験」。
2022年は、1〜3月に、駅前おしゃれ横丁商店会との商店会歩き・考察・成果物作成、「おしゃれ横丁バリアフリー調査」。
2月に、箱根町社会福祉協議会との、バリアフリー観光案内動画「ふくし教育×観光」(YouTube/はこね社協チャンネル)撮影と、小田原まち歩き実行委員会との、バリアフリー観光実証実験(まち歩き)「分身ロボットオリヒメ×小田原観光」「かまぼこ通り 車椅子まち歩き」。
4月には、かまぼこ通りの一角で定期的に開催されている〝軒先市〟にて、「車椅子試乗体験」も行いました。
おしゃれ横丁バリアフリー調査(2022年1〜3月)
バリアフリー観光実証実験「かまぼこ通り 車椅子まち歩き」(2022年2月)
エリアやカテゴリを超えた多方面とのコラボと、活動の広がり。
まだ実験や調査段階のものが多いものの、それぞれが大切な一歩です。
観光でのバリアフリー、日常でのバリアフリー。
どんなことが、どこまでできるのか。
動きながら、考えながら、可能性を模索していく日々が続いています。

バリアフリー観光実証実験「かまぼこ通り 車椅子まち歩き」(2022年2月)

かまぼこ通りの〝軒先市〟にて、「車椅子試乗体験」(2022年4月)

ずっとやりたかった、念願の《バリアフリービーチ》!
2022年夏、小田原の御幸の浜でチャレンジします!!

そんな2022年夏、新たなコラボ、新たな可能性が舞い降りてきました。
それは、〝バリアフリービーチ〟!
わかりやすく言ってしまえば、車椅子ユーザーはもちろん、ベビーカーを押すママさん、足腰の弱い年配の方…〝どんな人でも、誰でも楽しめるビーチ〟。
初鹿さんやリハもんのみなさん、また多くの関わりのある方々にとっての、念願の企画でもありました。

「ODAWARAバリアフリービーチ」案内ポスター(2022年8月、御幸の浜の海の家にて)
福田さん(左)と初鹿さん(右)、御幸の浜にて。
きっかけは、初鹿さんが、バリアフリーの市民活動で交流のあった、海の家の運営者でもある福田ひろみさんに〝バリアフリービーチ〟の話をしたこと。
福田さんが協力を申し出てくれたことで、いっきに話は実現に向かって加速していったのです。
何より嬉しかったのは、車椅子ユーザーのみなさんがすぐに反応、共感してくれたことでした。
小田原から、箱根から、都内から…と、エリアを超えて続々と参加表明!
初鹿さんをはじめとするTeamリハもんのみなさん、福田さん、関係者のみなさんも含めた「ODAWARAバリアフリービーチ実行委員会」が、いよいよ結成されました。
その打ち合わせは、グループチャットやWEB会議ツールなどを活用。
その中で出てきた、主な課題・議題は、〝車椅子で砂浜を走る方法〟と〝トイレ問題の解決〟、〝当日のアクティビティ〟について。
〝車椅子で砂浜を走る方法〟については、共催の「湘南バリアフリーツアーセンター」のサポートで、「モビマット」という特殊なマットを海まで敷けることに!
さらに、「モビチェア」という〝そのまま海に入れてしまう車椅子〟も使用できることになりました。
〝トイレ問題〟についても、過去のリハビリイベントなどでの縁がつながって、移動式バイオトイレカー(優成サービス株式会社)が駆けつけてくれることに。
アクティビティについては、これからつめていくところですが、短期間に驚くべきスピードで色々なことが決まっていきます。
現地にて、「モビマット」配置イメージの打ち合わせ。

当日のアクティビティの候補の一つ、モルック。

打ち合わせながら挨拶にまわる、福田さん(左)と初鹿さん(右)。

開催日時は、2022年8月20日10:00〜14:00。
会場は、御幸の浜海水浴場(小田原市本町3丁目413-1番地先)。

県西エリア初!!の〝バリアフリービーチ〟への挑戦。
見学者も大歓迎とのことなので、この機会に、海水浴がてら、小田原のバリアフリーの空気を体感しに行ってみてはいかがでしょうか?
また、当日は、うわさの「モビマット」「モビチェア」などの体験会も開催するとのこと。
自ら〝当事者〟になってみるのにも、いいチャンスかもしれません。

〝バリア〟って何だろう?

初鹿さんがよく口にするのが、「バリアフリーの活動といっても、ダメ出しをしたいわけじゃない」という言葉。
特に設備などの面で〝バリア〟を指摘されると、おそらく大抵の方が、申し訳ないような気持ちになるのではと思います。
かといって、それを改善するのは容易ではないことも充分理解しています。
全国どこをとっても、もの的な〝バリア〟を完全になくすのは難しい状況。
その中で、初鹿さんたちがずっと唱えていたのが、「心のバリアフリー」。
そして、小田原のまちの〝コミュニケーションしやすい雰囲気〟こそが、その活動の浸透しやすい土壌でもありました。
特にここ数年の様々な出来事、広がり、コラボや諸々のスピーディな展開は、小田原だからこそなし得たことのように感じられます。
これからも、色々な角度から、初鹿さんたちのバリアフリーへの挑戦は続いていくと思いますが、私たち自身がそれを傍観するのではなく、混ざって一緒に盛り上げていけることが、まさに、〝小田原らしいバリアフリー〟のかたちなのかもしれません。

バリアフリーマップ作成まち歩きイベント(2019年6月)

バリアフリーマップ作成まち歩きイベント(2019年6月)

バリアフリーマップ作成まち歩きイベント(2019年6月)

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